SHUHEI 玖

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「いや、何でって……面識あるからだけどさ」 「何でですか?どういう経緯でそうなったのか気になるー」 ゴニョゴニョした喋り方になっていく田辺先輩に、巧は他意無く天然で追い打ちを掛ける。 そういえば田辺先輩と衣野妹の初対面って西海祭のあの日か? 当然のように勝手にそう思ってたけど、あの日が初対面だって言った訳でもなかったような。 5人も集まってる和室内が何故かシーンと静まり、異様さを感じ取った俺は皆の顔を見渡してみた。 遼先輩は不機嫌な様子でひたすら飯を食ってて、それをさおりが含み笑いしながら観察している。 さおりと同じく遼先輩の様子を窺ってる田辺先輩は、まるで遼先輩を気遣うかのような弱腰な仕草。 巧はきょとん顔のまま田辺先輩とさおりを交互に見て、単なる素朴な疑問に対する答えを待ってる。 何だ?この面白いようで実は複雑な感じの人間模様は。 まだ他に俺の知らない情報が隠れてるっぽいな。 「……で。そのナントカ部の部長と今日会った理由は?」 重たげな不機嫌ボイスで話を擦り変えようとするのは遼先輩。
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