SHUHEI 玖

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俺は別に久藤先輩率いる西海高校軽音部バンドのファンって訳じゃない。 そりゃあ歌唱力高くて声まで良いし、演奏も実力派だし、ビジュアルも高校生にしては見栄え良くて、同性から見ても全体的にイケてる。 去年の文化祭で披露していた中の一曲、軽音部オリジナルのとあるバラードが強く印象に残ってて忘れられないだけ。 正直サビ以外の歌詞は覚えてないけど、その曲は作詞作曲編曲の全部を久藤先輩が作ったと知って痺れた。 あんなカッコイイ男でもあんな歌詞を描けるのか、って。 あれ以来あの曲は聴く機会が無かったが、思い出したら改めてじっくり聴きたくなる。 ていうか千円ぐらいなら払ってでも手元に一枚欲しい。 そして正にあの曲がきっとあのディスクの中に……! 「そっかー、さおりちゃん見たんだ。俺は店番と被ってて行けなかったんだよなぁ」 「俺は友達とステージの近く陣取って見ましたよー。新曲めっちゃカッコイイよねー」 「ね!ですよね!」 「そう言って貰えて久藤達も嬉しいだろうなー」 盛り上がる田辺先輩と巧とさおり、置いてきぼり状態の遼先輩と翔、独り悶々とする俺。
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