SHUHEI 玖

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いや、遼先輩も本当は薄々でも自覚してるのかもしれない。 桜に勢いで告白しちゃった手前、他の女に惚れたなんて認めるに認められないってのなら理解出来る。 変に真面目だから、少なくとも高校在学中は桜一筋でいなきゃいけないっていう妙な(こだわ)り持ってそう。 桜がアメリカに行くって早く伝えて打ちのめしてやれば遼先輩も切り替えられるだろうに、それぞれ事情あるからって中々すんなり行かないもんだ。 「俺もまた聴きたくなってきたー。ね、オーディオ持って来て流せない?」 「うち皆コンポだからどうかな……」 「兄ちゃんのノートパソコンなら持って来れるんじゃない?」 巧がグッジョブな提案をすると翔がグッジョブな代案を出し、この場が俺の願望通りに事が運んで行く様に密かにニヤッとした。 が。 「飯食ってる時に音楽なんか聴きたくねぇよ。俺のいないとこでやれ」 この場の絶対的王様が冷や水を差しやがった。 ムスッとした様な顔で飯を食いがてらに言い放たれ、俺達はシーンと静まり返る。 久藤先輩の曲と歌声を聴きたくない程妬いてるのか。
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