SHUHEI 弐

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「ふーん?気ぃ利くじゃねぇか」 「こんなの常識でしょ」 「……チッ」 この俺がせっかく褒めてやったのに可愛くねぇな、田辺先輩には感じ良く接してるらしい癖に。 ま、俺も桜にしか優しく接してないから文句は言えないな。 「んじゃ行くぞ」 俺はビニール袋と紙袋をそのまま手に掲げ、さおりに顎で指示しながら並木公園の正面出入口に向けて脚を動かす。 「それ持ってくれるの?」 「うちのなんだから俺が持つに決まってんだろが」 「そう?」 「つーか女の癖によく3リットル分も持って歩こうとしてたな」 桜ほどじゃないけどさおりも細っこいのに、こんなのを手土産に選ぶとは案外逞しい女だ。 俺が代わりに持つなんて夢にも思ってなかっただろうに。 「これが桜さんの家?」 並木公園を出て約5分後、俺の自宅の真ん前に到着した。 「噂には聞いてたけど、ほんと素敵な家……」 道路に突っ立つさおりは、俺の自宅よりも右隣の住宅に気を取られてる。 やっぱり女ってのはデザイナーズハウスに憧れるのか。
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