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「じゃあ私も彩芽とお兄ちゃんと3人で行動するから、一真はお友達と楽しみなよ」
私は兄と彩芽を挟む様に彩芽の左隣へ移動して立ち、彩芽の左腕に右手を絡めた。
どうせ今の一真は私と一緒に回る気力が無いだろうし、私も今は一真と一緒に回るという気持ちにはなれない。
それに。
「この3人でちょっと行きたい場所あるから。ね?」
「ね」
一真にそう付け足した私は彩芽と笑顔を見せ合った。
彩芽と私の今回一番の目的。
「……分かった。……じゃあごゆっくり」
あっさり了承した一真がトボトボと友達4人と合流すると、5人の空気は更に澱んだ。
「悪い、山崎……彩芽ちゃんはやっぱ諦めろ……」
「いいよ、気にすんな……」
「女子高と合コンでもすっか……」
山崎くんとやらは彩芽を諦めたらしく、5人はがっくりと肩を落として玄関の奥へと消えて行った。
ちょっと後味は悪いけれど、先ずは第一ミッションクリア。
「何か悪い事しちゃったけど、じゃあ早速連絡取ってみるね」
彩芽は申し訳なさそうに一真達の背中を見送りつつ、制服のスカートのポケットから携帯電話を取り出した。
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