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この自然過ぎる喋り方に話の脈絡だと、優は絶対に気付いてない。
当たり前みたいに俺も知ってるものとして喋ってる。
「住ませるなら治安良い所じゃないと心配で禿げそうだろ?だから大学のアメリカ出身の友達から色々情報仕入れて、昼からずっと桜とそういう話してたんだよ」
俺が桜から何も聞かされてないなんて予測は、優からしたらこれっぽっちもしてないんだって判る。
そりゃそうだ。
アメリカに住もうとしてるなんていう大事な話を俺に隠すなんて。
カナダにいる優には教えて、ほぼ毎日会ってる俺には未だに教えてないなんて有り得ない。
「派手な国行って、明るい生活して、多民族と触れ合って。それが恭平のこと吹っ切る近道になるんなら応援してやろうぜ」
なのに不思議とショックとか怒りとかは余り感じない。
いつかはこういう時が来るような気はしてた。
いつまでも傍にいられるなんて自惚れてないし、何となく覚悟はしてたからダメージは多少抑えられてる。
「可愛い子には旅をさせろ、ってな」
ただ、こんなに早くその時が来るなんて思ってなかったから割り切れない。
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