SAORI 6

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「キスしてた」「二人だけの秘密」なんて、一真からすればジョークだろうと不愉快に決まってる。 だから柊平くんが母にそう言った時は私も焦ったし、TPOを弁えない柊平くんに苛立ったけれど。 「冗談だって言ってたでしょ?私を女扱いしてない人だよ?」 「女扱いしてるからこその台詞だろ、あれって」 「それは、お兄ちゃんがシス……」 と言い掛けた所で、思い止まって結局言わない事にした。 兄がシスコンか否かの検証をしていたと話せば、一真が兄に対して更に余計な偏見を抱き兼ねない。 ただでさえ家に来たがらない一番の理由が兄なのに。 「そもそも何であの人追っ掛けてって一緒に戻って来るんだよ。どう考えても怪しいだろ」 「あれは、柊平くんがお兄ちゃんに怒られたから心配になって……」 「何で心配すんの?特別だから?」 一真は無表情のまま淡々とした口調で次々と疑問点を挙げる。 それに少し圧倒される私は、どう説明すれば誤解されないのか考える為に無言になってしまう。 すると一真に左手首を強く引っ張られ、瞬く間にベットの上に押し倒されていた。
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