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「そういうとこ見てっから割と好きだぞ。遼先輩の弟だけあって真面目だなって思うわ」
うちは兄も弟もスタイリング剤は使わないので若い男性用のスタイリング剤は自宅に無く、柊平くんは昨夜の入浴後から前髪を下げたまま。
まさか髪型を真似している様には思えないけれど、360度何処から見ても兄と似たカットデザイン。
その後頭部の黒い髪が直射日光に照らされて濃茶に艶めいている。
それを綺麗だと感じるのは、兄と弟を好きでいてくれる人だから美化されて見えるのかもしれない。
「俺の身長抜かしそうなとこだけは許せねぇけど」
「え、そこ?あ、でもお父さんとお兄ちゃんは180あるから翔も最終的には180行くのかな」
「ちょっと前までこーんなチビだった癖に糞生意気だわー。クッソ腹立つわー」
「柊平くん何㎝?」
「175.3」
「それだけあれば充分でしょ。良く頑張って伸ばした方だよ」
「何だその上から目線は!?」
私は兄や弟と違って女だから、柊平くんと同性同士の付き合いが出来ない。
でも兄や弟みたいに柊平くんと仲良くしたい、と7年越しの今になって初めて思った。
交遊関係が閉鎖的な兄と弟が柊平くんを好きな理由が解る。
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