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その夜は、自分勝手な感情任せに田辺先輩をボコった事を後悔し始めていた。
殴っても詰っても挑発しても遼先輩は帰って来なかったのに、田辺先輩に同じ事をして何になるんだと。
田辺先輩は強豪校主将っていう重いポジションが息苦しくて、逃げ出したくなる位に追い詰められてる。
閻魔監督に連帯責任者として怒られるのが苦痛で、誰かを叱咤するのが苦痛で、強豪校主将という大注目と期待される立場が苦痛で。
ある意味、遼先輩よりも田辺先輩の方が引き戻し難いかもしれない。
実力はピカイチながら優し過ぎた田辺先輩は、中学時代と同じく副主将の方が肌に合ってると俺でも思う。
『本当に田辺先輩まで失うかもしれない』なんて考えると、一睡も出来ないまま朝を迎えてた。
田辺先輩が俺を避けるなら、土下座でも何でもしてどうにか引き止めようとまで決めた。
遼先輩の二の舞になる位ならプライドなんか捨ててやる、と。
が、その朝に早くも学校でその結果が出た。
誰も居ない練習場に俺と巧を呼び出した田辺先輩が、逆に俺らに対して土下座をしたのだ。
「もう逃げない」って誓いと一緒に。
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