SHUHEI 玖

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女にモテたいからバンドやってんだろ?って嫌味を言うにも、うちは男子校。 それに久藤先輩のあの歌唱力の前にはぐうの音も出ないし、普通に嫉妬心よりも尊敬心の方が勝つ。 俺もそれなりに国内外問わず音楽は好きで聴くからバンドマンに対する偏見は別に無いし、ギターやドラムが出来たり楽譜を読めるってだけで羨ましかったりする。 「お前こそロック好きとか意外だっつの。バレエやってたしクラシック聴いてそう」 「そりゃあクラシックも聴くけどクラシック以外も聴くでしょ。どういう偏見?」 「とか何とか言って、久藤先輩に惚れたからとかじゃねぇのかぁー?」 「違います。直ぐそういうのに結び付けたがるんだから」 ムッとするさおりの反応を見た限り、本当に久藤先輩に惚れてる訳じゃないのは判った。 俺も本気で言ったんじゃなくて単にからかいたかっただけだし、さおりがミーハー女ではないのも惚れっぽいタイプじゃないのも知ってる。 そういえばあの1年坊主の彼氏とはまだ冷却期間中だっけ? 「因みにあの彼氏とはどうなってんだよ?形式的にはまだ彼氏なのか?」 「形式的にはね」
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