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下手したらあからさまにガッカリされるっていうマイナス思考に支配されてただけに、この結果は嬉しい。
めちゃくちゃ嬉しいけど、これはこれでまた不安が生まれて気持ちが安らぐ暇が無い。
浮上する新たな疑惑、『御褒美の約束を忘れてるんじゃないか』説。
「良かったねー、柊平ー。おめでとう!」
珍しくふにゃっと女の子女の子してる桜が最高の笑顔と一緒に祝福の言葉をくれるが、果たして約束を覚えてる上でのそれなのか?
約束の御褒美について切り出せば、一瞬で真顔に変わるんじゃないか?
本当にキスしてくれるのか?
「……あの……桜……でさ……その……」
右手人差し指で頭をカリカリ掻きつつ、桜の顔色をチラチラ窺いながら小さい声で歯切れ悪く切り出してみた。
図太い神経の持ち主なはずの俺が今は小心者になっている。
何回振られても何回もしつこく告白し続けて、御褒美キスの約束なんか取り付けた図太さのこの俺が。
その俺が、今は図太くなり切れない理由は……。
「うん。……でも今直ぐ此処で、いいの?」
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