SHUHEI 弐

6/30
3079人が本棚に入れています
本棚に追加
/751ページ
    ──さおりの方が先に並木公園に着いてる、と思ったら。 「あ、もう着いてたんだ。ごめんね」 さおりが並木公園に来たのは、俺の到着から10分近くも後だった。 正面出入口前のベンチに座って腕組みしていた俺の前に現れたさおりは、通学鞄の他に袋を2つ提げてる。 「遅っせーよ!人待たしといて呑気に買い物かテメー!」 「どうせ私より着くの遅いだろうと思って」 「俺の脚の長さ舐めんなよ!」 「はいはい、ごめんなさいね」 ベンチから立って通学鞄を肩に掛けながら詰め寄ると、さおりは軽く溜息を吐いて軽く謝った。 全く誠意を感じない謝り方だ。 「ったく。何買ったんだよ」 さおりの手からビニール袋と紙袋を奪い取って中身を覗くと、コンビニのロゴがプリントされたビニール袋の中身は、1.5Lペットボトルの飲料が2本。 どっかの菓子店の紙袋の中身は、包装された平べったい箱。 「そのお菓子の詰め合わせは仏壇のお供えにしようと思って。飲み物もご家族の皆さんで飲んで」 淡々と説明するさおりに驚かされた。 この女、良識的だな。
/751ページ

最初のコメントを投稿しよう!