SAORI 3

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でも、やっぱり応答も物音も全く聞こえて来ない。 階段を降りて行く音なんて聞こえなかったし、近くに在るドアの開閉音が聞こえたから、絶対に2階のどれかのドアの向こう側に居る筈。 返事すらしてくれないという事は、あれでもナイーブな人だし物凄く落ち込んでるんだ。 私は自分のした事を益々後悔して、小さく深呼吸する。 「……柊平くん、ごめんね」 そして何処かに居る柊平くんへ向け、静かな口調で謝った。 「せっかく呼んでくれたのに、嫌な話しちゃってごめんね。今日はありがとう」 そしてゆっくりと身体を階段の方へ向けて、ゆっくりと足を前へ進める。 やっぱり私はもうこの家に来る事は無いんだな、と思いながら。 でも、やっと恭平くんに挨拶しに来れて良かった。 恭平くんの家に来れて、恭平くんの部屋を見れて嬉しかった。 でもちょっぴり後味が悪い。 柊平くんの事もそうだけど、恭平くんの事も。 恭平くんは本当に死んじゃったんだな、と強く実感してしまった。 恭平くんに逢いたくなった。    
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