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住み慣れた町を全力で走る。見慣れた人、見慣れた電柱、見慣れた店。それを気にもとめずにただひたすら走った。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
僕は北島の家の前まで着いた。
「すみません!!誰かいませんか!?すみません!!」
遅れて香奈が到着した。
「はぁ…も、もう…。何なの?」
「北島ってヤツの家だよ…。誰か!!いませんか!?」
キィ…。と音がして扉が開いた。
「あら…直也くん?どうしたの?真一(しんいち)に用?」
「はい!!真一くん帰ってますよね!?」
「えっ?うん…。私も帰ってきたばかりだから、分かんないけど…。とりあえず上がって」
「お邪魔します!!」
僕は靴を脱ぎ捨て、北島のいるであろう部屋までダッシュで向かった。
「北島!!」
が…北島の姿はそこにはなかった。
「遅かった…!!」
「直也!」
「香奈!いない!北島がいない!」
僕はその時、あるものを見つけた。
「携帯電話だ…!!」
北島の携帯電話が床に転がっていた。液晶はヒドく割れていた、が機能は生きているみたいだった。
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