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―私がまだ10歳の頃の話だ…。
「ねぇ…。一緒に遊ぼうよ」
「げっ!出たぞ!妖怪だ!」
少年たち、私を含め、その子を嫌っていた。汚れている服、伸びた髪、見えない表情…。私たちはその子を妖怪みたいだから、そのまま『妖怪』と呼んでいた。
その子は、『芽衣』という名前だと言うのは私だけが知っていた。
「待って…!」
芽衣は小さな声で叫んだが、届かなかった。
その日芽衣は家には帰らなかった。何故なら、親がいたからだ。
芽衣の両親は父親は若くして、亡くなっており母の手で育てられるはずだった。
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