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「よし、断る。」
「あら、拒否権はないわよ?」
彼女は和泉玲子。うちのクラスの白河涼子のいとこらしい。
「はい?」
「それ、みゅーじっく、すたーと!」
ジャパニーズイングリッシュで話す彼女は、高井忍。どうも英語は苦手らしい。
「てめぇら後で絶対覚えてろ…」
と言いつつ音楽が流れると歌ったり踊ったりしてしまうのが俺だったりする。
「わー、可愛いね♪」
「うんうん♪」
「いやがってる割りにはノリノリですよね。」
「それがお兄ちゃんだから仕方ない。」
「…それでまとまりますの?」
「たぶんおーけーなんじゃない?」
「うんうん。」
勝手にそういうこと言うんじゃねぇ、俺はこういう趣味はないからな、うん。
―一頻り踊り終わったところで、お袋から電話が。
「もしもし?」
―もうちょっとでご飯だからそろそろ帰ってきなさい?
「へいへい。なんか買って帰るもんある?」
―そうねぇ…あ、飲み物好きなもの買ってらっしゃい。
「了解。そしたら後15分もしたら帰るから。」
―気を付けてね?
「おう。」
そう言って電話を切る。
「お母さんなんて言ってた?」
「もうすぐ飯だから好きな飲み物買って帰ってこいって。」
「んじゃ、行こっか。」
「さんせー。」
「私ワインがいい。」
「私はビールー。」
「未成年はお酒ダメだろ。」
なんて会話しつつスーパーに寄る。が、ここで重大なことに気づく。
「あー、そういえば(猫耳外すの)忘れてた。」
「(財布)取りに帰る?」
「あ、私が出すからいいです。」
「んにゃ、これ外すの忘れてた。」
で、頭の猫耳を指して言うと、
「いいんじゃない?そのままで。」
見事に全員ハモった。逆に俺は泣きたくなってしまった。泣かないもん!だって男の子だから。
「外そ…あれ、外れない…?」
「私のスイッチがないと外れませんよ?」
「は?」
どうやら改造した猫耳らしく、脳内とリンクして動いたり、頭に装着すると簡単に外れなくなったり、命令を強制的に聞かせたりすることができるらしい。
「ってことは…」
「…四つん這いになりなさい。」
「ちょ…!?」
体が意思と反して四つん這いになる。どうやら内に眠っている何かが目覚めたらしい。
「ウフフフフフフフフフ…」
「可憐、顔が怖いよ?」
「ちょっと、どうしたの?」
やはり回りから見ても様子がおかしいらしい。
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