クロの災難(後編)

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目が覚めるとそこは病院の一室だった。 「お兄ちゃん!?」 抱きついてくる美羽。ああ、俺は撃たれたんだったな。 「あの、大丈夫でしょうか?」 「ああ、なんとか生きてるよ。」 「よかった…」 部屋を見渡すといろんな人がいた。 俺を手術してくれたと思われる担当医。付き添いの看護婦。安心したように笑うお袋、親父。今俺の胸元で泣きじゃくっている美羽。話を聞き付けてきた涼子と日和。あの時いた可憐、佳奈、茉奈、玲子、忍。あとは生徒会の牧野先輩、藤村先輩、坂本先輩。 「…よくこの部屋にこの人数入れたな。」 「それは聞かないお約束ですの。」 「わかってる。わかってるから聞きたいんだよ。」 「強いて言うならお金…」「いや、本当でも言うなよ。」 笑いが起こる。 「さて、私たちは帰るわ。」 「もう帰られるんですか?」 「起きて元気なところ見れたしね。それじゃまた、学校で。」 「ばいばーい!」 「それじゃあ、失礼しましたぁ。」 生徒会の面々帰宅。まあ、一番関係ない人たちだしね。 「ホントにあの時はごめんなさいね?」 「あー、うん。あんたが暴走するのはよくわかった。」 「可憐もこれ以上暴走しないように手術してもらったら?」 「たら?」 「こらー!」 「きゃー!」 「きゃー!」 元気な双子と暴走娘その1は走って出ていった。元気だなぁ。 「本当に大丈夫ですの?」「あぁ、一応は。」 「安心したぞ、うん。」 忍がやけに偉そうなのは気のせいか? 「まあ、それなら、また遊んでくださいね?」 「今度はお手柔らかにね。」 「ふふっ…それでは。」 「さらばだ!」 ただ言ってみたかっただけだろうな、最後の忍の台詞。会話に絡んでこなかったし。 「ははは…」 ついていけない日和。そらまあ当然であろう。 「それじゃ、私たちも帰ろっか。」 「そうですわね。では、ごきげんよう。」 「じゃね。」 あっという間に部屋には数人いるだけになった。 「ところで、俺はどのくらい眠っていたんだ?」 「5日間。とっても長かったわよ?」 「うんうん。帰ってきたら退院パーティやろうかって話もはずんでな。」 俺がいない間に話が大きくなってる… 「運よく心臓には当たっていなかったんですよ。ただ、その近くの筋肉に当たった関係で、血流が止まっていたようです。」 「はあ、そうですか。」 俺は胸を撫で下ろした。
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