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無事に退院した俺は、学校に通う。まあ、当たり前の話だろう。
「あらあら、もう行くのかい?」
「ああ、ノート借りたりと色々大変だしな。休んだ分も取り返さなきゃ。」
「あ、お兄ちゃん、ホントに大丈夫なの?」
「ああ。」
「くれぐれも無理するんじゃないぞ?」
「ああ、わかってる。それじゃ、いってきます!」
「いってらっしゃい。」
俺は家族が見守る中で学校へと向かう。正直電車の中で体調崩すことも十分にあり得るだろうからな。俺だってそりゃ不安さ。
「あ、黒沢君…」
「おはようございます、牧野先輩。今日はいつもにまして早いじゃないですか。」
「あなたのことが心配だっただけよ。今日も生徒会はあるからね?」
「うげ。そういえば劇の件決まりました?」
「決まってるわけないじゃない。あなたなしでどうやって決めるのよ。」
「それもそうですね。」
―そこに電車がやって来る。俺と牧野先輩はあれこれ劇について話し合った。
「まあ、こんなものじゃないでしょうか。」
「衣装は演劇部から調達するわね?」
「調達…」
正確には強奪、の間違いである。まあ、演劇部には後で謝っておくことにしよう。
―学校に到着した。まだ人はまばらである。
「それじゃ、また後でね。」
「はい、では。」
俺たちは靴を変え、それぞれの教室へと向かう。
「ごきげんよう、黒沢くん。」
教室に行くと涼子がいつもにまして目を輝かせていた。
「よっ、どうしたんだ?」
「決めますわよ?」
「へ?」
「探偵団の名前。」
辺りを見回すと、ちゃっかり日和も待機している。
「…まあ、部活もしばらくいけないし、そうだな、決めるか。」
というわけで。
「まずは私から出しますわね。」
どこから持ってきたのかわからないが、ホワイトボードに『白石探偵局』と書いた。
「その白石って?」
「もちろん私の名前ですわ。」
苦笑いする俺と日和。
「日和はどんなの考えてきたんだ?」
「え?私は…」
ホワイトボードに『ワクワク探偵団』と書く日和。
「まあ、大体意図はわかった。」
「探偵ってワクワクしますものね。」
じゃあもうちょっとましな名前を思い付かないか、と突っ込むのはあまりに酷だからやめることにした。
「黒沢くんは?」
「俺は…」
『野良猫探偵団』と書く俺。
「まあ、可愛らしい。」
「でも何で?」
「いや、3人の名前だよ。」
「へ?」
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