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「桜井先輩います?」
飯を食い終わった俺らは手分けして聞き込みを始める。で、サッカー部の部長のところに来たわけだ。
「んあ?」
拍子抜けした声と同時に、こちらをまじまじと眺めてくる桜井先輩。
「トシから話は聞きました。詳しい話を聞きたいのですが。」
「あー、スパイクの件な。」
本人のノリがやけに軽い気がする。
「んー、木曜日に新しいスパイクを買いにいったんだがな。それで見せるために金曜日に学校へ。んで、明日の試合で使おうと思ったわけだ。そしたらどういうわけだか、部活中にそれがなくなってな。」
「誰か部室に入ったりしてましたか?」
「確か何人もいたと思う。何を取りに行ったかまでは知らないがな。」
「なくなったのは部活時間中、でよろしいですか?」
「いや、もう少し絞ると最後の1時間の間。というのも、俺がトレシューを取りにいったときはまだあったからな。」
ふむ、そうなると探しやすい。
「一応他にも聞いて、またわかったら連絡しますね。」
「あ、ちょっと待て。携帯の番号教えておくから。」
こうして他の二人と合流した。
「どうだった?」
「こっちは部活時間の最後の1時間じゃないかって。」
「そうしたらこちらの情報も提示しておきますわね。マネージャーさんの情報ですわ。まず、その時間帯には3人出入りしてますわよ。」
「ふむ、その3人が怪しそうだな。」
「何で?」
「そりゃ、この3人しか盗むタイミングがないしな。マネージャーは部室の近くにいてもおかしい話ではないから。」
「1人目は夢野雫、2年生ですわ。彼はどうやらサッカーボールの入った袋を取りにいったみたいですわ。彼、いつも自分のボールを使っているみたいなので。」
「袋の大きさとかは?」
「ギリギリサッカーボールが1つ入る大きさみたいですわ。」
「ということは違うのかな?」
「たぶんな、まだいるからわからないが。」
「2人目は中村俊明、1年生ですわ。彼は水筒を取りにいったみたいね。」
「たぶんトシのことだからカバンはごちゃごちゃだろうな。」
「そうですわね。」
「付き合い長いんだっけ?」
「ああ、小学校の時からの付き合いだ。あいつは人のものを盗むやつじゃねーよ。」
「3人目は箕輪周平、副キャプテンですわ。彼はビブスがたくさん入った籠を取りにいったみたいですわ。」
「ビブス?」
「んー、バスケの時とかに着るあれ。チーム分けとかの。」
「なるほど。」
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