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その後、箕輪先輩はあられもない姿で見つかったらしい。
「それにしてもよくわかったね、黒沢くん。」
「いや、優秀な仲間たちがいるからですよ。千代がいないと情報が足りなかったし。」
「えへっ…」
「シロがいないとそもそもこの探偵団自体なかったし。」
「うふふ。」
「タマがいないと運動部のアテが少なかったし。」
「えへへ。」
俺は3人に向かってこう言った。
「ありがとう、本当にいい仲間たちだな。」
「当たり前ですわ。」
「うんうん。」
「あの…私も、入って、いい…?」
「ええ、大歓迎ですわ。」
「それじゃあ…トラ、かな?」
「は、恥ずかしいですぅ…」
真っ赤になってる千代を横目に、夢野先輩が「僕もこんな仲間たちがほしいよ。」と言ってきたので、「できますよ、いつか、絶対。」と断言した。
「ところで、箕輪先輩はどうされましたの?」
「あー、まあ、もういいんじゃない?」
「黒幕は、罰を、受ける、べし…」
「トラ、怖い。」
何がってものの言い方がな。そこは気にしないのがマナーだ。
「さて、僕はこれから帰るとするかな。今日のお詫びにクレープでも奢るよ。」
「え、いいんですか!?」
「あの、ありがとう、ございます…」
「夢野先輩、練習は…」
「今日はサボるよ。」
即答だった。トシが肩をすくめてやれやれと言いながら、「まあ、今日くらいは。」と言ってついていった。
「クロは来ないの?」
俺はほんの少し考えて、
「ああ、すぐに行く。」
そう言ってついていくことにしたのだった。
―教室を出ると、桜井先輩がいた。
「なんだ、もう帰るのか?」
「夢野先輩が今日のお詫びがしたいって。」
「よし、俺にもおごれ。」
「まあ、今回のことを顧問に伝えない条件ならいいですよ。」
「わかった。」
いや、いいのかよ。そういうツッコミはしないことにした。
「ところで、箕輪先輩は?」
「埋めてきた。」
本当にあられもない姿になってしまったようだ。可哀想に。お線香の一本でも後であげておこう。
「あいつには線香はいらん。ロウソクをぶっさせば問題ない。」
「いや、それは別の意味で問題ありますよね?ただのSMか何かですよね?」
「まあまあ、細かいことは気にしてはいけませんわ。」
「いや、細かくねぇ、根本的なところだ。」
うん。根本的に。
―その後、俺たちは夢野先輩の奢りで、クレープを堪能したのであった。
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