2人が本棚に入れています
本棚に追加
「ところで、この後の予定は?」
牧野先輩がふと聞いてきた。
「今から温泉に入りに行きますが、その後は何もないですよ?」
「じゃあ、上がってから夕飯の時間まで例のアレ、決めちゃいましょう?もう時間がないもの。」
「了解です。先輩の部屋でいいですね?」
「ええ。」
それだけ決めてからとっとと温泉へと向かった。まあ、どうでもいいが、今はまだ春である。寒いわけでもないのになぜか皆温泉へと急いだ。と、ここで重大なことを思い出した。
「ここ、混浴でしたよね?」
「そうよぉ?それがどうしたのぉ?」
坂本先輩、わかって聞いてますよね?明らかに男女比がおかしいって。
「ちなみに、貸しきりだったりします。」
「涼子、てめぇ…」
「あら、シロって呼んでもらいたいのですが。」
「今はそんなことどっちでもいいわ。計ったな?」
「あら、いやですわ♪」
ああ、やはりこの人はかなりの大金持ちです。金で沈めたに違いない。
「あと、皆さんが持ってるそれは?」
それ、というのは絵の具と筆。明らかに嫌な予感を感じさせる。
「あー、うん、ね?」
「うん…」
「まあ、堅いことは気にしない気にしない。」
「後でわかるわよぉ。」
「まあ、ね、せっかくだから。」
「気にしたら負けですの。」
いや、気になるのが普通じゃないか?常識的に考えて。
「ほら、見えてきましたわよ。」
そこには暖簾が。男女違うところで着替えて、中で合流できるようになっている。
「それじゃ、後でな。」
「うん、逃げたりしたらダメだよ?」
「へいへい。」
俺はそう言いながら、男と書かれた暖簾のかかった部屋に入る。
「まあ、あいつら何をしようが、俺は巻き込まれないことはないだろうからな…」
二重否定イコール肯定というのを踏まえてそんなことを言ってみる。まあ、今までもそうだったし、今回もきっとそうだろう。間違いなく、100%。
―さて、着いたときには、先客―と言っても白石家のメイドさんたち―がいた。何やら準備をしているようだ。
「首尾はどうですの?」
「はっ、順調でございます。あと数分で準備が整います。」
「それじゃあ、ここで待っていますわ。」
「あの、これって…」
俺は何か怖いものを目にしたような眼差しでセットを見つめる。
「ええ、ボディーペインティング大会ですわ。」
「え、何、この小説の存続の危機?」
思わず聞いてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!