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「僕の口から言うと面白くないんで、ちょっと来てもらっていいですか?」
「はい、なんでしょう?」
「えっとですね、ごにょごにょ…」
「はい、わかりました。」
僕は概要だけ伝えると、自分の元いた場所へ戻る。まあ、誰が優勝か、を伝えただけだが。
「えー、ただいま、黒沢様からの要望で、優勝者をお伺いしましたので、私どもの口から発表させていただきます。」
「優勝は…」
まあ、盛り上がる、というか、先伸ばしにしたいだけだったりする。あと、この妙な緊張感も楽しみたいしな。
「竹虎千代様です。」
「…私…?」
「まあ、インパクトとかなら一番だしな。そういうの基準で選んだ。」
「そういうわけで優勝者の竹虎様には、今から1時間黒沢様の体に絵の具を塗り放題です。」
「では、あちらへ。」
「いいの…?」
「問題ない。」
まあ、千代は仲間がほしかったらしく、俺も虎になったわけだ。まあ、千代の方はたぶん落書きを隠すため、だったのだろうが。
―まあ、そのあとは記念写真を撮り、体を洗って、また記念写真を撮ったわけだ。まあ、写真は記念になるし、いいとは思う。
「あー、すっきりした!」
「だなー。」
俺らが仲良く部屋に戻ろうとしたときだった。
「きゃー!」
…?聞き間違いか、と思ったが、
「…行ってみよう!」
「うん!」
声のした方へ向かった先には…
「え…」
「怖いよぉ…」
「怖いというよりはグロいわねぇ…」
女性の死体。凶器そのものは見当たらなかったが、確かに血が流れていた。
「警察とかにはすでに連絡しているようだな。」
「それまでに私たちに何ができるのでしょう?」
「俺らが解決できる事件でもなさそうだ。」
「事件?」
まあ、生徒会の面々はわからなくても当然だが、俺らは仮にも探偵団である。即席とはいえ、俺らも協力したい。なんて思ってると、警察が到着した。
「遺体は…無惨ですな。」
「…お父さん?」
「おや、優子か。ああ、そうだったな、お前も旅行中だったっけか。」
「うん、まあね。」
「牧野先輩のお父さんでしたか。」
俺は挨拶に行く。
「僕は生徒会長兼野良猫探偵団員の黒沢健一です。」
「君が例の黒沢君か。話は優子から聞いてるよ。いつも世話かけてすまないね。」
「いえ、こちらこそお世話になりっぱなしで…」
なんか挨拶が堅いが、まあ、気にしないでほしい。こうして、本物の事件に出会ったのだ。
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