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「ところで警部、事件の状況は?」
「あまり軽々しく警部って呼ぶんじゃない。お義父さんと…」
「…お父さん…?」
「はっ!?」
しっかりしてください、いや、マジで。
「殺されたのは三上 健二さん。会社の同僚3人と来ていた模様。殺害推定時刻は12時~14時までの間。」
「なんかありがち。」
「藤村先輩、ストレートに言い過ぎです。」
「だって…」
「陽子ぉ?」
ここで反応したのは坂本先輩。
「何よ?」
「あのねぇ、ごにょごにょ…」
「!!」
藤村先輩が少し嬉しそうな顔をしている。
「何を耳打ちしたんですか?」
「そうねぇ、この事件が解決したらわかるわよぉ。」
まあ、この人のことだからとんでもないのだろう。間違いなく、100%、何があっても、誰がなんと言おうとも。
「私、ひどい扱いねぇ?」
「いや、今までのがあれだったんで。」
「ふーん?」
どこからか油性マジックを取り出す坂本先輩。他の人は軽くスルー状態。誰もつっこむ気にはなれないらしい。
「…で、凶器は?」
俺はなるべく話題を変えようと、警部に振った。
「…う、うむ。ナイフで数ヵ所刺されていたのを見ると、失血死か心臓まで到達したことによるショック死が考えられる。ただ、血がたれているのを見ると、前者の方が確率は高いだろう。それに、誰かに呼び出されたらしいからな。」
となると、犯人は顔見知りの確率が高くなる。じゃないと素直に行くとは思えないし。
「ちなみに、同僚の3人にはそれぞれ話を聞いておいた。」
「うちの(ただし千代を除く)と違って仕事が早いですね。」
「今なんて言った?」
マジでキレる5秒前の日和。
「…イヤ、ナンデモナイデスヨ?」
「読みにくいからやめてくれない?」
「牧野先輩、ここは空気を読んでください。」
謝りながらもつっこむ俺。
「ふーん?部屋に帰ったら覚えておいてね?」
「すいませんすいませんすいません…」
「何がですの?」
気付いてないのがいた。
「…嬉しい…」
顔を赤くする千代。そこに、呆れている警部が割って入った。
「あー、話が進まないからそろそろいいかね?」
「どうぞどうぞ。」
「えーっと…」
わざとらしく間を入れる警部。必要はないが、臨場感はわく。
「あ、リストを置いてきた。」
回りにいた全員がこけた。まさかそういうオチになるとは。
「いやー、すまんすまん。」
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