ドキドキ!?温泉旅館!(中編)

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―数分後。場所を移して、僕たちの部屋。 「さっきはすまなかったな。」 「いえいえ。」 そして、警部はわざとらしく咳をすると、こう語り始めた。 「1人目は有明翔さん。被害者とは非常に仲がよかったことで知られている。また、その時間は部屋にいたらしい。」 「部屋?」 「えーっと…706号室だ。だから悲鳴も聞こえなかったとか。」 「2人目は日野耀子さん。被害者の婚約者で、来月籍を入れる予定だったとか。どうやら下の温泉には入れなかったから、下のゲームセンターで時間を潰していたらしい。ゲームセンターの係員の目撃情報もある。」 「でもあのゲームセンターって犯行現場の近くじゃ…」 「まあ、そうなんだが。実際係員もずっと一人の人を監視している訳じゃないからな。」 まあ、そりゃ見ていたらただのストーカーか変態かその人を溺愛しているかだろう。 「3人目は藤松圭助さん。被害者とは上司と部下の関係に当たるらしい。もちろん、藤松さんが上司だ。仕事もできるし、何よりも誰よりも信頼できるらしく、よく仕事を頼んでいたらしい。事件当時は外でタバコを吸っていたらしい。だから悲鳴は聞こえていない。」 「証人は?」 「一応、ホテルの係員がタバコを持って出ていくのを見た、と。」 となるとこれだけは聞いておきたい。 「メインエントランス以外に入り口はありますか?」 「2ヶ所ある。1ヶ所はメインエントランスの反対側、もう1ヶ所は犯行現場とは反対側だ。」 となると、やはり、全員に犯行の余地が伺える。動機が何か、まではわからないが。 「ってお前らは人の手に落書きするな!」 「だってぇ、暇なんだもん。」 「話が長いんだもん。」 「そうですわ。」 待て、涼子が言うのはおかしくないか? 「はぁ、顔じゃないだけまだ許すが。」 「顔が良かったの?」 「んなわけあるか。」 なんてやっていると、 「さあ、本物の事件に対して活動開始ですわ!」 「え゛。」 このお嬢様は一体どこまでフリーダムなんだ。特に分野とか活動範囲が。 「では、皆さんこれを。」 「用意がいいな、お前は。」 涼子が取り出したのは例の猫耳と尻尾。あと、猫手に猫足、セクシーな衣装(胸と下だけ隠せるようになってる)である。 「この衣装は俺が着て需要はあるのか?」 「んー、たぶんここにいる女子にはあると思うよ?」「あ、そうですか、コンチクショウ。」
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