クロの災難(前編)

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まずは俺と学校、地形などを紹介する。 俺は黒沢健一。ごく普通の高校一年生だ。部活は陸上部で、新人の中でも期待されている。んで成績も上の上の位置だ。自慢じゃないが、奨学金ももらっている。受験料も免除。で、生徒会長。ほぼ押し付けでなったが、気に入っている。楽しいしな。 そんな俺が通っているのは私立白石学園。俺の幼馴染みで令嬢の白石涼子の父親が校長を務める学校だ。高級感ある外見に、綺麗な内見。そこがまた人気あるのだ。ちなみに学費はクソ高い。 そしてこの白石学園がある、高砂市の市長は更にこれまた俺の幼馴染みである玉川日和の父である。ちなみに、大都市で、色々便利なのだが、交通量が多い。 俺はその隣の三舞市に住んでいる。こっちは高砂とは打って変わって田舎だ。うちの周りにも田んぼがある。 俺の周りはどうしてこうもすごいやつらばかりなんだろうか…そしてなんだろう、この格差は。 「おはよー、昨日の探偵日記見た!?」 お、令嬢の前に日和の登場か。 玉川日和。市長の娘で元気娘。吹奏楽部に入っている。あと、なぜかたまに叫ぶことがある。 「おぅ、見たぞ。どうしてああも焦らして終わるかな…」 「そこがまたいいところなんですのよ。」 台詞からしてお嬢な彼女はこの学園の令嬢、白石涼子だ。口調もいかにもお嬢様って感じだが、思い付きで周りを振り回すこともしばしば。俺もよく振り回される。 「まあ、それをいったらおしまいだけどねー。」 「ですよね。」 俺は日和に同意する。 「ところで私、探偵というものに興味を持ちまして…」 この流れは、また始まったか? 「えーと、もしかして涼ちゃん、またなにか考えてる?」 「ええ、玉川さん。私、探偵団を作ろうと思いましたの。」 うお、俺の予想の遥か斜め上に行った。自分が探偵になるならともかく、俺らまで巻き込むとは思いもしなかった。 「えーと…それは俺らも入っているのか?」 俺は気になることを聞いてみる。 「もちろんですの。逃げ出すことは許しませんわよ?」 はぁ、と俺はため息をついた。それを見て日和は苦笑いをして、 「まあ、部活とか委員会の両立に加えて探偵団は骨が折れるからね…」 と柄にもないことを言って慰めてくれたのであった。 ―放課後。 「さあ、名前を決めますわよ?」 そこにはいつも以上に目を輝かせる涼子がいた。
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