ⅩⅢ cafe’

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店内は赤茶色のソファと焦げ茶色の木材、天井は小さな四角いシャンデリヤのような蛍光灯カバーで出来ていた。それらは煙草のヤニで灰色が沈着していたが、何故か何とも言えない懐かしさを感じた。 灰皿は烏龍茶のような色をしたガラス製で、縁が広い。ヤクザものの映画なんかに出てきそうなものだった。 ふとそう思うと、ヒロサキは何者なのか急に不安になった。ヤクザの偉いやつで、この後俺をあの灰皿で殴り倒して、臓器や眼球を抉り取られて、最後にカラダは切り刻まれて新宿の喧騒に紛れて処分されるのかと考えた。 そしてそのガラスの灰皿を振りかざし、俺の目玉と目蓋の間に指を突っ込むのはあのオカマ達だ。 オカマは肉体と精神の間で、無意識に野生と化している。 いや、肉体と精神のギャップを埋めるために従うべきものを自分で分かっているのだ。だから眼球を引きずり出して、繋がったままの視神経を鋏でチョンと切ることも躊躇わない。
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