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「あのね?遠くに行く事になったの」
泣きそうな顔をして
あの子は俺とコウの顔を見つめた
「じゃあ、もうココには来れないの?」
俺達から視線を外すと
小さく頷いた
「うん…」
その姿を見て
コウが必死で説得する
「無理だよ…」
あの子は小さな声でつぶやくと
唇をきゅっと結んだ
「僕、妖精の鍵、探してくる。」
俺の言葉にあの子とコウ
2人揃って俺を見た
「遠くに行っても、きっとまた会える…。お祈りするんだ、また会えますように。」
「また…会えますように?」
あの子が首をかしげて
俺の瞳を覗き込むように見つめた
「やめろよ、そんなのウソだ。」
コウが何か言っていたけど
俺には聞こえなくて
あの子の小さな手を握って
黒目がちで潤んだ瞳を見つめた
「…信じる?」
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