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だが運が悪いことに、他国からの応援が来る前にこの小さな、しかし長い戦争は始まった。
両者に多数の死人を出しながら続いたこの戦争はそろそろ終わりを迎えようとしている。
村人の生存者は、もういない。
どんなに兵器が強くても、それを作る村人たちのなんと非力なことか。
彼等は男も女も子供も赤子も関係なしに、兵士達に皆殺しにされた。
勿論私の主も例外ではなかった。
命を失い目を閉じた主を地面にそっと横たえ、額についた液体を拭う。
赤黒い血だ。
剣を握る手も真っ赤に染まっていた。
それは死んでいった村人のものか、それとも今切り捨てた兵士達のものか。
もう分からなかった。
ガシャンとまた一体仲間が倒れた。
赤い血だまりと、流れ出るオイルの色、倒れた肉体、どこまでも広がる死の色。
それらを見て、私は復讐を誓う。
私の心を写したように、空は涙を流そうとしていた。
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