序章

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ようやくちっぽけにだが、村の見えるところまでやってきた少女が見たのは今まさに火を上げて燃えている、子供たちの待つ村だった。少女は頭が真っ白になり、数分間そこに立ち尽くすことしかできなかった。そして、我に返った少女は村へと全速力で走りながらも一生懸命に考えていた。 三日もあけずにやってくる殺し屋たち。それが今日に限って一人も来なかった。子供たちを養うためにやっている仕事。これも今日に限っては依頼の量が多かった。子供たちといっても、少女の帰りを待っていたのは戦争によって親や親戚たちをなくした孤児だったから、死んだとしても誰も知らない。悲しまない。そして、子供たちの存在を知っているのは自分を万屋として雇ってくれた、大人の中で唯一信頼のできたあの人だけ。これが意味していたものは、信頼していたあの人の裏切りだった。 あの人は、少女のことを我が子のように扱っていた。いや、我が子同然だった。あの人は、次第に少女を本当の娘にしたい、あんな村へ帰らず、自分のもとにずっといて欲しいと思い始めた。あの人は決めたら、そうなるようになんでもやってしまう人だった。それが招いてしまったのは、少女の絶望、憎しみ、復讐という強く、醜い意思の塊だった。 とにかく子供たちを助けるのが先だと思った少女は村へ入るなり、子供たちのいる家へと向かった。 その途中に見かけたのは、傷だらけで倒れている少女と同年齢の少年。
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