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(あの……葬送の列は……一体? あの列はまるで……)
セラは首から提げた銀の指輪を握り締めた。
「まるで、あなたの……葬送の列のようだった。あなたが亡くなったあの時みたいな……。静かで、悲しみに満ちた列」
セラの頬に一筋の涙が流れる。
「……ッ。泣いても仕方ない。……さぁ、支度しよう。今日は約束があるのだから、しっかりしないと」
セラはそう言い、ぐいっと涙を拭った。寝台の横にあるチェストの上の水差しを手に取り、洗面用の器に水を流し入れる。顔を洗い、髪を梳く。
支度を整え階下で食事を済ませ、部屋に戻るころには日もすっかり昇り、部屋に暖かな光が差していた。
部屋に入り一息ついていると扉が軽く叩かれた。
「……はい」
返事をして扉を開けるとそこには昨日出会った青年、レイリアが立っていた。
「……おはよう」
さわやかに笑うレイリアにセラは少し緊張した面持ちで答える。
「おはようございます」
「……迎えに来たのだが……」
「はい。では、行きましょう」
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