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「えぇまぁ……大した腕じゃないですけど……」
少年は少し照れたようなそぶりを見せる。
「是非聴かせて貰いたい。駄目だろうか……」
青年は真剣な表情を少年に向けた。その様子に少年はかなり面食らったが快く承諾した。
「いいですけど……じゃあどこで弾きましょうか? あちらの席でいいですか?」
少年は酒場の隅のほうを示した、が……。
「いや、できれば部屋で聴きたいのだが……。いいだろうか……?」
青年は少し難しい顔をしてからすまなそうにいった。
「……? ……わかりました。行きましょう」
「すまないね」
多少疑問に思うことがあったが少年は何も聞かなかった。
相手が話そうとしない限り関わらない方が身のためというもの。
自分は相手にとって異邦者以外の何者でもない。
余計な詮索は相手にも失礼だし、何よりも興味がなかった。
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