序章

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 しかし少年は竪琴の弦を幾つかの組み合わせで爪弾くと極上の笑みを浮かべた。 「大丈夫です。では、はじめますね」  にこやかに少年が言い竪琴を構えると部屋の空気が一変した。  張り詰めた空気の中、少年の細やかな手が竪琴の弦に触れる。  その途端、美しい音色が部屋中に広がった。 (なんて……すごい……)   少年の竪琴の腕はかなりのものであった。  複雑に絡み合った和音や連符をものともせずに、情感込めた素晴らしい演奏をしてみせたのだ。  それもひとつひとつの曲をそのまま弾くのではなく、それぞれに少しずつアレンジを加えながら……。  青年は少年のその完璧な演奏を聴き全身に鳥肌がたった。 (素晴らしい……まさかこれほどの腕とは……)  すべての曲の演奏が終わると少年は一礼した。 「素晴らしい演奏だ。まさか、これほどの腕を持っているとは……正直驚いた」
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