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青年はそう言うと部屋を出て行き、部屋に残された少年……セラは荷物を備え付けのテーブルに置いた。
そしてひとつ溜息をつく。
荷物の上に上着を脱いで皺ができないように置くと、上着のポケットから先程の金貨と鍵が落ちた。
粗末な床に跳ね返り金属の澄んだ音が響く。
「…………何だかなぁ……」
金貨と鍵を拾い、手の中の金貨と部屋の鍵をじっと見つめた。
(こんな大金を払えるような人が、何故こんな下町にいたのだろう? 宿までとって……)
金貨と鍵をテーブルの上に置き、寝台に横になる。
「……レイリア……か。あの男、何者だろう? ただの剣士にしては身なりが随分良かった。この下町に近い宿に泊まるとは思えないほど……」
取り留めのないことをつらつらと考えているうちにセラは眠りに落ちていった。
町は夜が明けるまで賑わい続けていた。
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