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-ガシャン-
それはいきなりの事だった。
回りの客は、投げ飛ばされた男を可哀想にと見るだけで、助ける様子はまるで無い。
「命が惜しかったら有金全部置いてけって言ってんのが聞こえねーのか」
チンピラ風の男はこれでもかとゆうぐらい堂々としていた。
それもそのはず。
彼はここ一帯を占める[権利者]、いわゆる[ボス]なのだ。
自分の実力に自信があったわけでは無いが、少なくとも、目の前の男に負ける気はしなかったのだろう。
「お金はホントに持ってないんですよ」
初めて口を開いたその男をは、立ち上がりついでに肩に着いたサラダを払っていた。
「今、僕が食べていたサラダにお金は使ってしまって、ホントもうないんです」
そういった男に、チンピラ風の男は鋭い指摘をした。
「んな事信じられっかよ!そーゆうのは、目の前に落ちてる財布を隠してからいいやがれ」
チンピラ風の男がゆうように目の前には、財布が1つ無造作に転がっていた。
「………………あっ」
暫らくの沈黙の後、投げ飛ばされた男は慌てて財布をポケットへとしまい込んだ。
「これでいいですか?」
(いいわけがないだろう!)と回りの客は心の中でつっこんでいた。
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