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「なめてんのかテメェ。いいから早く金よこせや!」
怒鳴ればどうにかなると思っている男は、繰り返しそう叫んでいた。
「ちょっとまちなさい」
それは、突然のことだった。
「あぁん。誰だオメェ!?………なんだ、ガキじゃねぇかよ。おじさん達はね、今忙しいから、お嬢ちゃんはあっちに行っててくれるかな?なんにも出来ねぇガキのくせによ。でしゃばんじゃねぇ!!」
いきなり話しを遮られた男は、その子どもを力一杯殴った。
…つもりだった。
しかし、男の手は明らかに空をきった。
いつのまにか、そこには自分が投げ飛ばした男が立っていて、拳をはねのけていたのだ。
拳をはねのけられた男は、バランスを崩しカウンターにもたれかかった。
彼の着ていた白いタキシードには、赤ワインともブドウジュースともわからない染みが、点々と飛び散っていた。
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