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窓は中庭に面している。
陽光は正面の棟に遮られ、斜めに断ち切られて落ちる。
四周を、まるで城塞のように囲まれて、中庭には正午あたりしか陽は差し込まない。
「キライなタイプなら、いっぱいいるんだよ」
中根刀馬はうっとうしそうに、ツナギの襟元をひろげながら云う。
「ふうん」
千里は頬杖をついて、落ちつつある太陽を直視した。
「聞きたくない?」
「ききたくない」
「じつはさ、世界中の人間がキライなんだ」
「へえ」
「もう、みんなみんなキライで」
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