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「もうさ。毎日まいにち、キライなそいつらのことを考えては気分がわるくなって」
そう云う刀馬は、春の微風になぶられて気持ちよさげだった。
「‥ったく。ひとの好き嫌いを、個別のデータの集積から凡例化するみたいな手続きは、いらないんだよ」
と千里は云う。
「‥そお?」
「好き嫌いは、経験じゃなくてたんなる嗜好なんだから」
「そうかなあ?」
千里は、コイツをブン殴りたくなる衝動に耐えた。
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