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「空の上からなら、どこで花火上げてるかすぐにわかるし、彼のことだもの、花火見ながらきっと、宴会みたいに賑やかにやってるわよね。」
そんなことを口にしてみる。
彼は彼女を見やり、そっと肩を抱くと。
「そうだな。あいつなら馬鹿騒ぎしてそうだよな。」
そう言って微笑んで見せた。
「夏の終わりってさ。どうしてこう……淋しいんだろうなあ。」
彼が呟く。
「そうね……。」
「あ、また上がったよ!」
「ほんとだ!」
彼女は。
彼のためのビールをすっかり忘れ。
彼は。
やりかけの仕事をうっかり忘れ。
窓辺に寄り添うように立って、懐かしい友を想いながら、ゆく夏を惜しんだ。
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