Trick or treat

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橙色の光が黒を払うかのような薄明かりの中で、婆は静かに語り出した。 もう大分前の話になりますが、私には息子がおりました。 見ての通りの貧しさなので、息子は大変辛い思いをしながら生きていたと思います。 貧しいながらに生活していましたが、息子が五歳の時です。ハロウィンの存在をどこからか聞き付け、街に出たところ、飴玉ではなく石玉をいただき、このあばら屋には帰って来ませんでした。 というのも、息子はあたかも本物の悪魔のような容姿をしており、そしてまたあの街も昔は小さく、皆が皆を周知でしたので、息子は本物の悪魔と思われたに違いません。 馬鹿な話です。
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