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喧嘩した日から彼とは一度も口をきいていない。
私はそれに安堵していた。
彼を前にすると自分の制御ができなくなる。
これ以上関係を悪化させないためにも私達は離れた方がいいんだ。
少し寂しいような気がするけれど。
そう思っていた時だった。
彼が大股で近づいてきて、驚くことに頭を下げた。
突然のことに内心慌てていた私はアホ面だっただろう。
「ブスとか言って悪かった」
「……」
何も言えなかった。
まさか彼の方から謝ってくるなんて。
驚きながらも気がつくと、私も頭を下げていた。
「私も色々言ったし、いいよ。ごめんね」
私がそう言えば、彼はどこかほっとした表情で自分の席へと戻って行った。
「仲直りできて良かったね」
「うん」
本当に良かった。
一度この恋は諦めて彼の話を聞いてあげよう。
そうすればお互いにこれ以上傷つかずにすむ。
そんなわけで、私は彼への好意を胸の奥にしまうことにした。
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