だけれどその必要はなくて

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彼が好きな子は可愛くてか弱くて、守ってあげたくなるような人だ。 そんな彼女は私の親友。 私の彼への微妙な好意は彼女だって知りはしない。 だから彼女は言ったのだ。 「さっき春君のことふったんだ。タイプじゃないんだよね」 困ったように眉を下げたその姿も可愛らしい。 私はというと頭の中で何かが爆発したようで、思考能力が低下していた。 変な顔をしていたに違いない。 「そうなんだ。それは大変だ」 何がって、彼がだ。 「今頃膝を抱えて泣いてたりして」 「いや、流石にそれはないでしょう。」 その後屋上で傷心中の彼を見つけたが、最終的にわざわざ出向く程心配する必要はなかったなと思うこととなった。 「あ、春君が顔面スライディングしてる」 「……」 彼はふられたにしては今日も元気だ。
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