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ただ触れていただけのそれが、僅かに離れて解放されると思ったのも束の間、息を吸い込む間もなく降りてきた唇。
それはわたしの口が食べられてしまうんじゃないかと思わずにいられない、噛みつく様なキス。
初めての刺激に思考が麻痺していく。
何も考えられずに与えられる感触と苦しいくらいの甘い痺れを受け入れてしまった。
「はっ……」
やっと唇が解放された時には、呼吸も絶え絶えで上手く酸素が吸い込めなくて、くらりと視界が揺らいだ。
「な……で……」
何で、そう聞きたいのに上手く言葉が出せない。
心臓だって壊れそうな程、騒いでる。
「さぁ。何でだろうな」
それなのに、部長は艶っぽい笑みを浮かべ、サラリと言って退けた。
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