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「……ぁっ」 下唇を部長の舌が掠め、言い表せない感覚が背筋を走って、思わず身体を引いた。 「……逃げんな」 触れるか触れないかの僅かな隙間に、部長の拒否をさせない甘い囁きが零れた。 その声に薄く目を開けると、細められた熱っぽい瞳と目が合って、そのまま唇を食まれた。 見つめられるまま、ゆっくり目を閉じると、部長がふっと笑った気がした。 もう自分にはどうしようもできない。 自分では止められない。 わたしに触れるこの手が、唇がわたしのものじゃなくてもいい。 ただの暇つぶしでも、からかいの対象でもいい。 部長、あなたが好きすぎて、壊れてしまいそうです…… いっそ、何もわからなくなるくらいまでわたしを……堕としてください。
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