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頷いたわたしを見た部長は、クッと喉で笑うとまた一口シャンパンを飲んだ。
「……そうだな」
グラスを置いた手をそのままわたしの耳元にやり、緩いパーマがかかった髪を掻き上げた。
それが心地よくて、されるがままでいると部長の形の良い唇の端が上がる。
「こう言ったら、信じる?」
「え……っ」
口を開いたのと同時に髪を弄んでいた手が後頭部に回って、そこに力が込められ部長に引き寄せられた。
「ここの予約も」
髪を掻き上げられた耳元に吐息と共に響く囁きに、背筋に感じる甘い痺れ。
「優しくするのも意地悪するのも、世話をやくのもズルいのも……」
咄嗟に目を閉じるとより鮮明に吐息を感じて、心臓が狂ったように脈打つ。
「相手があんただからだ」
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