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嫌な予感がして目を逸らそうとすると、部長の手がわたしの顎を捕らえて、強制的に上を向かされた。
艶めいた淡い茶色の瞳がわたしを覗き込む。
「なるほどね。何か期待してんの?」
「ち、違いますっ」
「そんな物欲しそうな顔で言われても、説得力ないよ」
「ものっ……!? 違いますってば!」
どっちかと言えば、部長の顔の方がそんな感じです!
「部長っ」
顎を支えていた指が首から鎖骨へとゆっくりと、流れるように滑らされ、くすぐったくて肩を竦めた。
「おいで」
甘く掠れる声が鼓膜をくすぐる。
どうしよう。
心臓が破裂しそう。
肩を抱かれ、ひとつのドアの前までやって来ると部長はカードキーを差し込んで、耳元で囁いた。
「覚悟しろよ」
そしてそのまま、部屋へと足を踏み入れた。
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