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「でも、どうしてわたしが……」
瞼にアイシャドウが塗られている気配。
目を閉じてされるがままに問い掛ける。
「んー。マサキ、今ちょっとタイヘンだけどモモカがいれば寂しくない!」
「大変……」
確かにいつも忙しそうにしている。
企画部の部長って、休みを返上しないといけないくらい忙しかっただろうか。
前部長の笹井部長を思い返してみても、ただ叱られただけの記憶しかなくて、ちっとも役に立たなかった。
「目、開けてイイヨ」
マスカラまで塗られた目をゆっくり開けると、サラさんが微笑んでいた。
「マサキを好きになってくれて、アリガト」
花のような香りがしたと思えば、サラさんがわたしを抱き締めていた。
「サラさん……?」
「アリガト、モモカ」
部長とサラさんは一体どんな関係なんだろう。
従兄弟の彼女っていうにしては、サラさんの『アリガト』は心の底からの言葉に聞こえた。
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