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サラさんが泊まっているというこの部屋の広々としたバスルームで、上質な生地で作られたオフホワイトのワンピースに袖を通した。
大きな鏡に映る自分を見ても、何だか背伸びをしているみたいでこそばゆい。
元々着ていた服を紙袋に収めて、バスルームを出た。
「あの……」
さっきまでわたしが座っていたソファに身体を沈める部長の後ろ姿に、恐る恐る声をかける。
振り向いた彼がふわりと微笑み、手招きをして隣に座るように促す。
黙ったままソファに近づくと、部長に背を向ける形で座らされた。
これはあれだろうか。
正面から見られない程、残念な感じだということか。
微笑むだけで何も言わない部長の反応に、やっぱり似合わないのかと改めて実感させられた。
自虐的な気持ちがのし掛かり、俯こうとすると背後から伸びてきた手がわたしの頭を両側から固定した。
「動くなよ」
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