51509人が本棚に入れています
本棚に追加
/806ページ
※※※※
その後も何度かキスを迫られ、それをかわすのに四苦八苦していると、部屋のチャイムが鳴った。
「わたし出ます!」
助かった、と立ち上がると、チッと舌打ちが聞こえた気がしたけど、聞かないふりをしてドアに向かった。
開けたドアの向こうには、さっきと変わらないスーツを着た都築さんと赤いフレアのワンピースに身を包んだサラさんが笑顔で立っていた。
「市古さん、似合うねー」
見慣れないスーツ姿だけど、これはこれで別の魅力を放つにこやかな都築さん。
お世辞だとわかっていても嬉しくて、顔が綻んでしまう。
「ありがとうございます」
「モモカー!」
ギュッとサラさんに抱き着かれ、彼女の肩越しに見える都築さんの眉が下がる。
「コイツ、さっきからモモカーってうるさいの。かなり好かれちゃったみたいだよー」
恋人の座が危ういな、とぼやきながら都築さんは、部長が座るソファの隣に腰掛けた。
最初のコメントを投稿しよう!