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「サラ、あんまり触んな」
ソファから動かないまま、目だけをこちらにむけた部長に、依然として抱き着いたサラさんが彼にベーッと舌を見せた。
「眞生もヤバいんじゃない? 市古さん、サラに盗られるかもよー?」
暢気にアハハと笑う都築さんの言葉に部長は眉をしかめた。
それを見たわたしは、何だか嬉しくてにやけてしまう。
わたしと二人きりにできるくらい信頼している女の人ですら、抱き着いたら嫌だって思ってくれるんだよね?
それって、すごく幸せなことだ。
「マサキ、独占欲ツヨイと嫌われるヨー」
抱き着いたままのサラさんが部長に言うと、彼の眉間に刻まれたシワはより深くなる。
「マサキ、怖いー」
そう言ってわたしに巻き付くサラさんを、近寄って来た部長に引き剥がされた。
「マサキ、ヒドい! サラだって、モモカと仲良くしたいのニー!」
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