じゅうご

5/22
51509人が本棚に入れています
本棚に追加
/806ページ
クリスマスの日に都築さんに貰った、ガラスでできた天使のオーナメントは、今もわたしの部屋でキラキラ輝いている。 「あの時は、ありが……」 「ねぇ、市古さんって他人行儀だし、桃花ちゃんって呼んでいい?」 ありがとうございます、そう言おうとしたら、都築さんに言葉を遮られてしまった。 「あ、はい……」 唐突な申し出に唖然としつつも、首を縦に振る。 すると都築さんは、アーモンドみたいな形の目を三日月に変えて微笑んだ。 同じ、色。 よく見ると彼の瞳も部長と同じ栗色で、弧を描くとよく似ている。 「桃花ちゃん、ありがとう」 「え?」 わたしがお礼を言うのならまだしも、都築さんには感謝をされるようなことはない筈で、首を傾げると彼は小さな笑いを溢した。 「眞生を好きになってくれて、ありがとう」
/806ページ

最初のコメントを投稿しよう!