51509人が本棚に入れています
本棚に追加
/806ページ
クリスマスの日に都築さんに貰った、ガラスでできた天使のオーナメントは、今もわたしの部屋でキラキラ輝いている。
「あの時は、ありが……」
「ねぇ、市古さんって他人行儀だし、桃花ちゃんって呼んでいい?」
ありがとうございます、そう言おうとしたら、都築さんに言葉を遮られてしまった。
「あ、はい……」
唐突な申し出に唖然としつつも、首を縦に振る。
すると都築さんは、アーモンドみたいな形の目を三日月に変えて微笑んだ。
同じ、色。
よく見ると彼の瞳も部長と同じ栗色で、弧を描くとよく似ている。
「桃花ちゃん、ありがとう」
「え?」
わたしがお礼を言うのならまだしも、都築さんには感謝をされるようなことはない筈で、首を傾げると彼は小さな笑いを溢した。
「眞生を好きになってくれて、ありがとう」
最初のコメントを投稿しよう!